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XY。


私には長い付き合いの友人がいるが。

彼女のパートナーは女性で。

長い長い付き合いの同性カップルだ。


私の友人は若い頃に各種ミスコンに出たり、成人してからはイベコンを生業としていたぐらい容姿が秀でた人である。

その彼女、色気が無い訳ではないのだが。

彼氏が居る人とは何かしらが違うオーラがあり。

独特の透明感と、生真面目なまでの処女性を湛えていた。


それもその筈、彼女は25歳を過ぎても処女であった。


思い起こすと、小学生の時は普通に男の子が好きだった。

中学生の頃に付き合った男からトラウマになるような事をされ、かなり男が苦手になって。

回りが次々にカップルになっていく中でも、確信犯の独り身を貫いてた所。

高校卒業の頃、現在のパートナーの彼女と出会った。

当然その後は、男と全く縁の無い人生になった。



友人のパートナーは多分性同一性障害の女性で。

一見男性にも見える中性的な容姿の人。

女性に見られる事を嫌い、スカートなどは絶対履かないし、化粧もしないので。

女同士のような、カップルのような不思議な雰囲気が漂う二人だった。


ただこの方、凄くもてた。

いつも綺麗な女の子達が回りにいて、非常に華やかなグループを形成していて。

はたから見ると、女の子をはべらかして遊んでる兄ちゃんにしか見えなかったw



私は若い頃から悩み抜いた二人を傍で見て来たので、何の違和感も無いが。

世間の人は何故友人のような美人が嫁に行かないのか、たいそう不思議なようで。

見合い話があんなに来た人を見た事が無いw



彼女は人生でただ一度、男と交わりを持った。

パートナーとの子供が望めないどころか、結婚や同居すら出来ない八方塞がりの状況が辛くなって。

堂々と世間に顔見せが出来て、ちゃんと結婚が出来る人を作ろうとしたのだ。


友人の親は兎に角早く結婚しろ、家業を継げる婿を取れの一点張りだったのも、きつかったのだと思うし。

パートナーさんのおうちは、お母さんが認めた有名大出の友人しか認めず、大学生の時でも門限8時というすごいおうちで。

成人しても一切のお泊まり禁止。

同棲どころか、家から独立して一人暮らしをする事すら絶対に認めて貰えなかった。

こちらは家業の跡取りは弟がいたが、体の弱い人だったので。

嫁が来なかった時と、弟に万が一の事があった時の為の。

家業の血統を繋ぐスペアとして、ずっと家に留め置かれていた。


この時代錯誤の親は、いつの時代の話かと思うが。

平成の話だ。


で、友人が男に走った結果は。

もっと男が苦手になっただけだった。

ほんとに不幸だ。


その時の彼女は、自殺でもするんじゃないかと思うぐらいの煩悶で。

2日おきに様子を見に行き、友人の懺悔話を聞いていた。


同性愛の人間が異性と交われば、取り返しのつかない事態になる。

たとえ浮気にしても、異性は最悪な相手なのだ。

チン●を生やしたくても生やせないし。

婚姻届を出してやる事も出来ない。

結局、同性である自分は絶対に異性には敵わないと思って完全に身を引くのだ。


一度離れて、相手の大事さを知った友人だったが。

自分の身体が穢れてしまったような意識を持っていた。

パートナーを裏切って男の血を入れてしまった汚い人間である、と。


こればっかりはパートナーが癒してやるしか無いが。

二人とも当座は精神的に疲れまくってて、どうにもならなかった。


結局は時間が解決してくれたが。

二人の間の蟠りが無くなるまでは、何年もかかったよ。



こういう友人を持った為、私は何でもありの人間になった。

その人が『そうありたい姿のまま』でいればいいじゃん、と。


本来の姿そのまま。

その性癖そのままを。

丸ごと受け入れようと思ったのだ。


勿論親や家や義理人情も大事だけど、何より本人の幸せが大事と。

思ったんだよ。

自己評価を上げたらもっと楽に生きられる人が多いんじゃないか、とも思ったしね。



あ、私も一度だけ彼女を持った事もあったなぁ。


彼女は本来は男で、ホルモン剤で女の身体を作ろうとしていた。

自分の身体が男である事を嫌悪し、チン●が有る事が耐えられないようだった。

だから友人のパートナーと全く逆ね。


見た目はまだまだ男が残ってたが。

中身は完全な女。

むしろ私のほうが大雑把なぐらいだった。

彼女は自分が理想としてる女の子になろうと努力してたから。

生まれつきの女の子よりもっともっと女らしかった。

ああ、女の子ってほんとはこんなに可愛いのかーと変に感心した事もあった。


たた唯一の不幸は、奥さんと子供がいた事で。

家族にはカミングアウト出来ていなかった。

子供にとって、お父さんがお母さんになっちゃう事は非常に大きい。

離婚の可能性も高いし、人格形成に歪みが出たら困ると悩んでいた。


ただ男の姿の自分には耐えられず。

家族と自己の確立の間で揺れていた。



ほんとに人はただ生きていくだけでも難しい。


だけど悩みに悩み、真摯に自分と向き合う人達は。

誰もとても美しい。


あるがままを受け入れてくれる人がひとりでもいれば。

多分それだけで、人は生きていける。

のにね。



でもさ。

今は、真面目な人ほど生きにくい世の中になっちゃったよね。


あ、私は不真面目だからそんなに大変じゃないケドねw










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