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突き詰めたフェチには。
セッ●スは必要ないのかも、と思った事がある。
その人は『くすぐり』フェチであった。
自分は服を着たままで、ひたすら私をくすぐるのだ。
私もブラとショーツはつけたまま。
姿勢だけはあれこれリクエストがあるが「下着を脱いで」とは一度も言われなかった。
その人は珍しい機会だからと、あれこれ道具を持参していた。
その人曰く、謝礼無しだとなかなかくすぐらせてくれる人がいないのだとか。
ローター、筆、刷毛、猫と遊ぶ時に使うふわふわの猫じゃらし。
あとお尻叩き用のパドル。
筆と刷毛は毛の固さと材質の違う物を何本か用意していた。
面白かったのは物差し。
固い物での感触も確かめたかったらしい。
基本的に縛りとかの拘束は無し。
ただくすぐりたい部分を隠さないようには配慮した。
具体的に言うと脇腹、背中、首筋、脇の下、足裏辺りだ。
私的には、脇腹と脇の下はくすぐったいより気持ち良い部分なので楽しいのだが。
足の裏と背中と首筋は飛び上がりたいぐらいくすぐったかった。
足の裏は土踏まずが一番くすぐったいかと思っていたら。
意外にも足指の付け根の方で悶絶した。
でも足裏は皮膚が厚めなのですぐに刺激に慣れる。
そうなると、今度は足の指を一本一本丁寧に舐め始めるのだ。
こうなると違う意味で声が出る。
くすぐったいのも限度を越えれば快感になり得る事を、その時に学習した。
しかも相手はくすぐる事しか考えてない、って所が更に好い。
ただの物扱いをされている自分に酔う、というか。
実験材料な自分を想像し、かつ股間を濡らし興奮しているのが自分だけなのが更に屈辱的で気持ち良い。
首筋をそっと舐められ、物差しで割れ目を上下された時には逝くかと思ったぐらい感じた。
なのに目を開くと相手は服を着ている。
ベッドの上で服を着ている男性ほど違和感のある物もない。
「私だけド変態みたい…」
またしても逝きそうになるシチュエーションであった。
ヒイヒイ言い続けて喉もガラガラ、どれだけ時間が過ぎたのかさっぱり解らなかったが。
相手に聞くと4時間は越えていたようだ。
くすぐられてるだけで4時間。
生殺しの目に合い続けて4時間。
なのに挿入どころかキスも無し、一緒のシャワーも無し。
『フェチ道に挿入無し』
非常にプラトニックに終わった関係の人であった。