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北上で軟化。


久々に彼に会った。

もう大丈夫だと思ってたけど、やっぱり声を聞くと涙が出たよね。




一緒にランチしてから、電車で移動したのだけど。

平日午後、上りのガラガラな電車。

5月だというのに肌寒い日で。

ちらほらいる乗客は、ほとんどがお昼寝中。





あのさ。

目の前にいるより隣同士のほうが距離が近いよね。




最後だと思えばもう何も恥ずかしくない、と思って肩に頭を乗せてぼへーっとしてみたり。

人が少ないからいいかと、キスをねだってみたり。

最近私があんまりやらなった『甘える女子』っぽい行動をしてみたのね。

ま、年甲斐も無く、ですけども。


そしたら。

お股がはしたない状態にw

彼を形成する細胞の匂いがそうさせるのか、単に殿方がご無沙汰だったからなのか解らないが。

とにかく、洪水というか河川の反乱状態に。


そうなると、更に彼にちょっかいを出そうとする私。

はぁはぁしながら何度もキスをねだる私がおかしいと思ったのか。

「変態」と囁く彼。


うーん、間違ってない。

電車の中でひとりで発情してたらそりゃ変態だわなぁ。



んで、そういえば。

この人私がどこでキスを頼んでもNOと言った事が無いなぁと。

ふと思う。


電車、カフェ、改札、信号待ち。

どこで唇を尖らせても、すぐ横に人がいない限り「お馬鹿ね」と言いながらキスをしてくれる。

そう「こんなとこでベタベタするなよ」とは、ただの一度も言われた事が無いのだ。


いちおう聞いてみたら。

「そんな事言うほど甘えられた事が無いし、元々ベタベタされるのが好きだから」と。



ああそっか。

あたしだけが寂しいと思ってたけど、この人も似た事を思ってたんじゃないか、と。


私はそれを言うけど、彼は言わないで来ただけなんじゃないか。

この長い年月、私は何ひとつ理解する努力をしてなかったんじゃないかと。


最後の取り返しのつかない結論を出す前に、出し惜しみせずに彼に注いでみようかと思ったの。

何なら「うっとおしいー」と言われるまでやってみようかとね。



そう決めると私も極端な女だから。

そこそこ馴れ合って割と冷めた『結婚5年め』ぐらいの感じから『付き合いだして半月後』ぐらいまで急展開させちゃう人間で。

彼が微妙に戸惑ってるのが面白いし。

私としては己の馬鹿ップル具合が面白い。



ってか。

もう○歳だからそんなのみっともないとか。

ここは歳相応に落ち着いていかなきゃ、とか。


ほんとはあんまり必要じゃないんじゃないかって。


だって、じーさんばーさんが手を繋いで散歩してて、何が悪いのよ。

あの歳まで仲良いっていいよね、だと思うんだよ。

瞬発力で結婚するのは容易いけど、どちらかが死ぬまで添い遂げるのはとても難しい事で。

やっぱり『付き合い長いんだから言わなくても解ってよ』は禁句だったり。

『もうあからさまな愛情表現しなくても気持ちは解るよね』は驕りなのだと。



色々思った訳なのね。





んでね。

この日は人生で初めて、パンティライナーで吸収しきれないほど濡れました。

いや電車で移動してただけで、前戯的な事すらしてなかったんだけど。



あれはいったい何だったのかね…






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